脂肪肝を放置するとどうなるか

 脂肪肝とは、肝細胞に中性脂肪が30%以上蓄積した状態をいいます(健康な肝臓では3−5%)。
 検診の肝機能検査で、GPT(ALT)の数値が 30IU/L を超えると、肝機能障害と判断され、超音波検査による画像診断で、その原因を探ります。このときに、肝臓に白く光る部分が見られた場合、脂肪肝と診断されます。
 脂肪肝になると血流の悪化により倦怠感や肩こり、冷え性などの症状がみられることがありますが、特に深刻な病気ではないと考えられてきました。しかし、最近の研究では、脂肪肝の患者さんの10分の1がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)に進展し、さらに、肝硬変や肝臓がんに進行するケースがあることが明らかになっています。
 脂肪肝に、ストレスや喫煙、紫外線が関与して発生する活性酸素の影響が加わると、肝細胞に炎症や壊死が起こってしまいNASHへと進展するのです。 NASH は ASH (アルコール性脂肪肝炎)と比べ進行が速く、肝硬変に移行しやすいのが特徴です。また、 NASH には根治療法がありません。ですから、NASH の前段階である、脂肪肝の治療・予防に努めることが肝要です。肝機能検査のGPT(ALT) の値が 20IU/L を超えたら、危険信号ととらえるべきといえそうです。

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