ヒトメタニューモウイルス感染症

 気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こすウイルスの一種です。
1~3歳の幼児の間で流行することが多いのですが、大人にも感染します。
小児の呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%は、ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。とくに乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。

<主な症状>
 ヒトメタニューモウイルス感染症はいわゆる風邪症状にとても似ています。
・咳(多くの場合、1週間程度続きます)
・熱(多くの場合、4~5日程度続きます)
・鼻水 悪化すると、以下のような症状がでることもあります。
  ゼイゼイ(ニューヒュー)という呼吸 (喘息様気管支炎、細気管支炎)
  呼吸困難 など

<特徴>
 ヒトメタニューモウイルスに感染しても、1週間程度で症状は治まります。しかし、1回の感染では免疫が獲得できません。何度か繰り返して感染してしまいますが、年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき、症状が軽くなる傾向にあります。
 ヒトメタニューモウイルスは、ウイルスの遺伝子も感染症の症状もRSウイルスに似ており、症状も見た目だけでは診断できません。
 感染の流行を防ぐためにはウイルスの鑑別を行うことも大切ですので、医師から検査を勧められることがあります。ヒトメタニューモウイルスの迅速診断キットでは、鼻咽頭を細い綿棒でぬぐった後、5~15分程度で鑑別できます。

 ヒトメタニューモウイルス感染症は、一年中発症が確認されていますが、春先から梅雨の時期までは、とくに感染者数が増加する傾向にあります。
 この時期は、保育園・幼稚園や小学校で流行がないかどうか、注意しましょう。

www.niid.go.jp
<治療法>
 ヒトメタニューモウイルスだけに感染している場合、各症状を楽にするための対症療法を行います。水分をしっかりとり、温かくしてゆっくりと休みましょう。
 症状が辛いときは、咳や鼻水を抑えたり、熱を下げたりするためのお薬が出ることがあります。

 熱が4日以上続く場合は、細菌にも感染している可能性があり、その場合は、抗菌薬が必要となります。熱が長引くときは中耳炎や細菌による肺炎などをおこしていることがあるので、もう一度早めに受診しましょう。また、お薬が出たら、医師や薬剤師の指示通りに飲みましょう。

<感染対策>
 ヒトメタニューモウイルスは、咳やくしゃみで吐き出されたウイルスがついてしまったり(飛沫感染)気が付かないうちにウイルスに触れてしまったり(接触感染)することで感染が広がります。
 保育園・幼稚園や小学校などで集団感染に注意する必要がありますので、家に帰ったら、手洗い・うがいを徹底しましょう。
 また、家庭内でもご家族に感染してしまうことがあります。お子様の調子がよくないときは、ウイルス感染が広がらないよう、マスクを着用する、タオルや食器を分けるなどの感染対策をしましょう。
 なお、ヒトメタニューモウイルス感染症は、出席停止期間が定められている病気ではないので、咳などの症状が治り、全身の状態がよくなったら、保育園や学校へ出席しても構いません。