冷えは現代病
冷えの原因となる自律神経の乱れには、現代の環境的要因が関わっています。
私たち日本人は、厳しい夏の暑さや冬の寒さで疲れた体を、機構の穏やかな春や秋の間に回復してきました。四季が順調にめぐることで、気候の変化に対応できるからどぉつくってきたのです。ところが近年は私たちの対応力を超える猛暑が続くなど、気候不順は体に大きな負担となっています。だからといって、冷房や暖房に頼りきれば、それがまた、負担を増大させてしまいます。
このように、私たちを取り巻く環境の変化が、自律神経がバランスを崩す状態を招いていると考えられます。自律神経は、体の臓器や器官を本人の意思とは関係なく支配している神経系で、これにより体の状態が一定に保たれています。ところが、対応力を超えるような環境の変化に遭遇すると、本来のリズムが狂って失調状態に陥ってしまいます。その結果、厚さ、寒さに対する温度調節がきかなくなり、本格的な冷えを招く原因となるのです。
もはや私たちにとって、冷えは現代病になりつつあるといえるのです。
不調に気付かない人も増えています。中高年になると、冷えを感知するセンサーの働きが低下するため、気付きにくいものです。
また、体が冷えていても、自律神経がアンバランスなため、冷えを自覚できない人も増えています。
もし、体脂肪が多いので自分は寒さによる影響を受けないと思い込んでいたら、それは間違いです。皮下脂肪は断熱材のようなもの。体の熱を保ってはくれますが、いったん体の中が冷えたときには温まりにくいのです。