貯骨と運動
「貯骨」の残高を増やすためにはどうしたらいいのでしょう。
まずは、カルシウムを摂取することです。日本人はすべての世代にわたって、厚生労働省の定めた目安量を下回っています。
世代では異なりますが、約200mgのカルシウム(牛乳1本分)を今より多くとれば目安量が満たせます。
食事から摂取するのが一番ですが、加齢とともに食事量が減るため、必要量の摂取は難しくなりがち。また、体質的に腸の吸収力が弱い人もいます。そんな場合、サプリメントを上手に活用するのも方法です。
強い骨をつくるには、「負荷(重力)」も必要です。1960-70年代にアメリカで行われた宇宙飛行のための実験で、無重力状態にみたてて健康な人をベッドで寝たきりにさせたところ、尿中に排泄されるカルシウム濃度が高まるという結果になりました。体が「カルシウムは不要」と判断し放出してしまうのです。
ベッドに寝たままで天井からつるした自転車をこぐ運動をしても、排泄される尿中カルシウム濃度は高いままです。一方、午前と午後の計2時間ずつ起立姿勢をとってもらったところ、尿中カルシウム濃度は下がったといいます。いくら足を動かしても宙吊りの状態では負荷がかかりません。つまり、重力のような負荷がかかれば、体は「カルシウムが必要」と感じるというわけです。
普段の生活でも、負荷を身体にかければカルシウムの体外への放出量を抑えられますが、特にハードな運動を行う必要はありません。
たとえば散歩。そのとき、リュックサックを背負っていたり、お孫さんがいる世代の人なら抱っこしたりすれば、より骨に負荷をかけることができます。
また、電車の中で座らないことや、エスカレーターなどがあっても階段を使うといったことも効果的です。
つまり、日常生活の中のちょっとした心がけで、コツコツと「貯骨」をしていくのが、丈夫でしなやかな「美骨」を実現する道といえるでしょう。