身体を温める

血のめぐりをよくする

 寒いとき、私たちの身体では、抹消血管を収縮させ、内臓や脳などに優先的に血液を循環させます。このため、手足の先が一時的に冷たくなりますが、ある程度の時間がたてば、元に戻るのが普通です。ところが、血管が収縮した状態が続き、末端の血の巡りが悪い状態が続いてしまう人がいます。
 理由のひとつとして、自律神経の乱れが考えられます。体温や血流など、身体の状態をコントロールするのが自律神経ですが、ストレスや不規則な生活などが原因でうまく機能しなくなると、血の巡りが悪くなってしまいます。
 また、血液は心臓の収縮で全身に送られますが、反対に末端の血液を心臓に戻すのは筋肉です。女性は筋肉量が少ないため、血のめぐりが悪くなりやすいといわれます。
 さらに、血管の内側が狭くなっていたり、血液がドロドロの場合も、血の巡りが悪くなります。
 血のめぐりが悪くなると、手や足の先が冷えたり、肩が張ったり、足がむくんだりと、様々なトラブルを引き起こしてしまいます。
 日常生活でできる、血のめぐりをよくする方法を実践しましょう。

生活

 熱いお湯なら温まるわけではなく、熱いお湯に短時間つかるのは湯冷めのもと。38〜40℃のぬるめのお湯に20〜30分ゆったりつかりましょう。
 のぼせたり息苦しくなる人は、みぞおちまでの半身浴に。肩にタオルをかければ上半身が冷えません。くるぶしから上10㎝がつかるようにバケツにお湯を張って足浴をしても全身が温まります。
 血液の流れを妨げない工夫も大切。ガードルやボディスーツなど体をしめつける下着や、足先の血流を妨げるハイヒールは避けて、ゆったりした温かい服装をこころがけましょう。
 また、猫背やO脚など、身体にゆがみがあると、姿勢を保つために筋肉が緊張状態となり、血のめぐりが悪くなります。身体のバランスをよくするために身体のゆがみをなおし、正しい姿勢をとるようにしましょう。
 運動不足の人は、心肺機能や筋力が低下し、血液を送り出す能力が衰えたり、血液がドロドロになりがち。適度な運動を心がけましょう。
 身体が硬いと筋肉が緊張して、血のめぐりが悪くなります。ストレッチで全身をほぐすのが効果的です。
 また、同じ姿勢をとりつづけて筋肉が固まらないよう注意。パソコン作業なら、2時間おきに肩をまわしたり、立ち上がって腰をのばしましょう。

食品

 身体を内側から温めるには、食べ物から。ダイコンやゴボウなどの根菜類やショウガには、燃焼を促し、身体を温める効果があります。反対に、夏野菜のトマトやキュウリ、ナスなどは身体を冷やすので、冬は控えたいものです。
 血液の流れをよくする香辛料には、血行をよくするアリシンを含むにんにく、身体を温めながら血行をよくするカプサイシンを含むトウガラシがあげられます。
 血管を拡張させ、イキイキと保つビタミンEは、ナッツ類や植物油などに含まれています。緑茶などに含まれるフラボノイドにも、同様の効果があります。
 また血液をサラサラにするDHAやEPAが豊富な青魚などもあわせてとりたいものです。
 筋肉の緊張をほぐすには、バナナやヒジキなど、マグネシウムが摂れる食べ物をとりましょう。
 自律神経の乱れを防ぐには、規則正しい生活を送ることが何より。1日3食、栄養バランスのよい食事を心がけ、7時間は睡眠をとること。ムリなダイエットで栄養バランスを崩したり、昼夜逆転生活を送るのは、自律神経を乱す原因になります。

 食品の効果や薬膳については、As of Todayをご覧ください。