花粉症の傾向と対策

花粉症の傾向

 春たちかづくとなんだか憂鬱・・・花粉症の人には悩ましい季節でしょう。では、どうして花粉による健康トラブルが発生するのでしょうか。
 花粉が目や鼻の粘膜につくと、まず、花粉から抗原と呼ばれる物質が体内にはいってきます。すると、身体の中で抗体という物質がつくられ、肥満細胞という細胞と結びついて抗原と戦います。抗体が抗原を捉えると、肥満細胞はヒスタミンなどの物質を放出。これらの物質は神経を刺激し、鼻水や涙、くしゃみ、目のかゆみなどを引き起こします。
 つまり、鼻水や涙、くしゃみで抗原を洗い流したり外に追い出そうとしているのです。これが、いわゆるアレルギー反応です。
 何の反応も出ない人から過剰に反応する人まで、こうした身体の防御反応には個人差がありますが、それは退室によるものです。毎年悩まされるのは、いったん花粉に対する抗体ができると、繰り返し花粉に対して反応を起こすからです。

 国内で60種類以上の植物が花粉症の原因となりますが、80%は春先に飛ぶスギ花粉。戦後に植林されたスギが樹齢30年を超えて花粉の飛散量が増え、100km以上離れた都市部まで飛散し、コンクリートに覆われた都会で土に返らずに飛びつづけるため、花粉症の人が増えつづけています。
 平成10年度の調査の辞典で、すでに日本人の約16%がスギ花粉症にかかっており、その数はますます増加しているものとみられています。

対策

 スギ花粉対策は、これまでトラブルが起きていない人にも無縁ではありません。花粉に対する抗体がトラブルを引き起こすわけですが、これまで抗体ができなかった人でも、大量の花粉を吸い込むことで抗体ができてしまい、再び花粉に接したときに反応が起きる体質に変化してしまう可能性があるからです。

 花粉対策の基本は、まず花粉に接しないこと。外出時は帽子、マスク、メガネ、コートなどで完全防備。外出先から帰ったら玄関先で衣服をはたき、手洗いやうがいをしましょう。また、ドアや窓を閉め、隙間テープを利用する、洗濯物は室内で干すか乾燥機を利用する、布団を干したら掃除機で花粉を吸い取るなど、家の中に花粉を入れない工夫を。
 花粉が多く飛ぶのは、晴れまたは曇りで、気温が高くて空気の乾燥した日や雨上がり、やや強い南風から北風に変わった日。こんな日は、花粉対策を徹底し、可能なら外出を避けるくらいが理想的です。

 さらに、日ごろから花粉トラブルがおきにくい体づくりを心がけることも大切。栄養をしっかりとり、ムズムズ対策に役立つ様々な成分を、上手に取り入れたいものです。
 お酒やタバコも鼻の粘膜を刺激するので、ひかえましょう。不規則な生活やストレスもアレルギーの引き金になるので、規則正しく、ストレスをためない生活を心がけましょう。
 なお、花粉症の人は他のアレルギー症状にも悩むことが多く、住宅の機密性が高まってダニ・カビが増え、排気ガスによる大気汚染が進んだことも、アレルギーを起こしやすい下地に。こまめにぞうきんがけをしたり空気清浄機を利用し、花粉とハウスダストを退治しましょう。

 野菜不足は花粉症に悩む人には大敵。肉中心の食事や加工食品ばかり食べている人は、食生活を見直したいものです。
 ビタミンCやカロテノイドが豊富な野菜や果物、カテキンを含む緑茶は、ヒスタミンの放出を抑え、花粉症の原因の一つである活性酸素を除去するといわれます。
 また、ヨーグルトなどの発酵食品やキノコ類も、免疫機能をアップさせる食品として中もKうされています。甜茶やシソなど、おなじみの素材を取り入れるのもよいでしょう。