肝臓と食生活

 たとえば、食べ好きで胃がもたれると感じることはあっても、肝臓の調子が悪いなとは、あまり聞きません。それもそのはず、肝臓は沈黙の臓器といわれ、自覚症状が出にくいのです。
 たとえ肝臓の一部がダメージを受けて機能しなくなても、ほかの部分でカバーできるうえ、再生能力にも優れています。生体肝移植で提供しても、3分の1残っていれば1年ほどで元の大きさに戻るほどです。
 そのため、自覚症状が出たころには、かなり悪化が進んだ状態。自覚症状がないからと、安心はできません。

 摂取さいたアルコールは肝臓で解毒されます。しかし、お酒が強い=肝臓が大丈夫、というわけではありません。
 アルコールの解毒は、アルコールを分解する酵素の働きで行われます。その酵素を多くも言っている人がお酒の強い人。決して肝臓全体が丈夫ということではないのです。
 それどころか、お酒が強いからと過度の飲酒を続けると、肝臓内で中性脂肪の合成が進むとともに、脂肪酸の分解が抑制され、肝臓に大量の中性脂肪がたまって、アルコール性脂肪肝になりかねないのです。


 肝臓を人体の化学工場にたとえましたが、原料になる栄養素が多すぎると、生産能力をオーバーして負担にかわります。適切な原料(栄養素)が、適量だけ工場へ供給されるのがベストなのです。
 特に糖質は、中性脂肪の材料になるので、摂りすぎは厳禁。自分の運動量に見合った量を摂取するようにしましょう。

 ただ痩せればよいというのは、大間違いです。単品ダイエットなど極端な食生活は、栄養のバランスを見出し、低たんぱく状態に。空腹が続くと、可能が体の末梢から脂肪を取り込むため、かえって脂肪肝の原因になります。実際、摂食障害の人には脂肪肝も多いのです。バランスのとれた食事と適度な運動で肥満を防ぐのが大切です。

 肝臓のトラブルの原因はお酒だけではりません。過食や栄養バランスの乱れなど様々な原因があります。
 最近、お酒を飲まない人が脂肪肝になり、発症するNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)が問題になっています。原因は、偏った食しかつや運動不足。さらに酸化ストレス(活性酸素を体内で十分に処理できなくなる)との関連も指摘されています。お酒を飲まないからといって、安心はできないのです。

 お酒を飲みながらの食べすぎや、脂っこいものの摂りすぎは脂肪肝のもと。しかし、お酒だけ飲むのもよくありません。特に、肝臓の再生や肝臓で働く数百種類の酵素のもとになるたんぱく質は、お酒を飲むならなおさら摂取する必要があります。また、炒め物や揚げ物より、煮物やゆでる、蒸すなどで調理されたつまみのほうが、カロリーの面からもおすすめです。

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